Data Analystのメモ帳

機械学習とかデータ分析とかしているData Analystのメモ帳です

KPIを設定する理由がわかった気になれる記事

この記事ではKPIを設定する理由がなんとなくわかった気になれる、そんなことを解説していきます。 これを読んだ人の頭の中にKPIってそういう理由が背景にあるんだなあというのが浮かんでくれたらそれで私の記事を書いた目標が達成されます。 あくまで私の解釈なのでそこはご了承を。

経営側の目線から

会社というのはすごいざっくり言うと事業を行って利益を生み出すことが目的です。 これは大企業もスタートアップも違いはありません。 そして経営者が会社経営でおこなっていることはこれまたざっくり言うと投資になります。 人・物・金(以下リソース)をどこに投資するのか判断することが経営者の仕事です。

では投資をする判断をするためになにをしているのかというと、基本的にはいろんな情報を集めて将来を予想しながらリソース配分を決めます。 シムシティとかそういうのやったことある人なら想像できるかと思いますが「このまま放置すると犯罪が増えるから警察署を設置しよう」とか「まずはゴミ問題を解決しないとなにもままならないな」みたいなことを考えながらお金の使い方を考えますよね。あれです。 もちろん会社経営をゲームみたいに勘でやるわけにもいかないので一般的に数字で会社の将来をシミュレーションしていきます。 将来の予測はより早く、正確で、遠くの未来がわかるほうが望ましいのは言うまでもありません。 そこで財務諸表に載るような数値だけでなくサービスの状態を示す指標が使われるようになりました。

よく使われる数字はactive user rateやchurn rateなどがあります。 これらの数値はサービスの状態をよく示しており、将来の経営状況をシミュレーションすることができます。 たとえばactive userあたりの単価が月次1000円でactive user rateが50%だとしたら全体のユーザ数が1万人であれば1万人 x 50% x 1000円 = 500万円の売上になります。売上を1000万円にするにはユーザ数全体を2倍にする必要があるな、というシミュレーションをします。 churn rateは時間方向の計算が入るのでややこしいですがまあ似たようなものですね。 こんな感じでKPIを使って計算することで財務諸表の数字だけを使うよりも正確に将来の予測をおこなうことができます。

組織運営の目線から

組織運営側、つまり管理職の仕事は会社の目標に対して経営資源が適切に運用されるように調整することです。つまり極端に言えば進捗の管理です。 管理するときに重要なのは数値です。 「あのプロジェクトはなんかいい感じだから進捗ヨシ」とか言えないので数値で管理するわけですね。 その昔、偉い人も「数値にできないものは管理できない」とか言ったとか言っていないとか。

さて、進捗を管理する際に数値などで管理するわけですが、ここで管理するために使う数値・指標が問題になります。 従来であれば売上や顧客獲得数、顧客満足度なんかを見ていたわけですが、これらの数字はいかんせん結果でしかなくてわかるまで時間がかかりますし、頑張っているけど上手くいかないというときに原因を探すことが難しいです。 そのため、より現場に近い指標をKPIとして設定し管理することで現場のアクションの進捗とアクションへの寄与を観測し改善を行います。 これがプロセスKPIと呼ばれることものです。 たとえば、churn rateを結果指標として追いかけている場合はその指標へのアクションとしてカスタマーサポートの問い合わせ数や電話放棄率などをプロセスKPIとして設定することでチームの事業への寄与の進捗率として管理することができます。

このように一段階具体的な指標を設定することで会社の目標に対してアクションの改善を行い事業への貢献を管理していきます。

サービス開発の目線から

サービス開発側、エンジニアやPMなどの仕事はユーザへ価値を提供できるサービスを開発することです。 ここで重要なことは「仮説を検証する」ということです。 近年のサービス開発ではユーザのペインや解決方法を模索しながら "当たり" を探すことが大切です。 そのためには常に仮説を建てながらそれが正しかったのかどうか、効果としてどうなのか検証することが求められます。

効果検証として客観的かつ定量的な分析手法として数字を用いた分析をすることになります。 開発はもちろん様々な機能や施策を打っていくわけですが、ここで施策ごとにいろんな指標を個別に見ているとだんだんと目線が散らばっていきます。 そこで「今の仮説はこの数字を見ることでわかるはずだ」という指標を決めることで目線を揃えながら仮説を検証することができます。 このような指標がサービス開発におけるKPIとなります。 たとえば、churn rateを最終的に下げたいのであれば機能の利用率やログイン頻度などをKPIとして設定し、開発の効果を検証します。 これは組織運営者、マネジメントにも非常に重要です。 施策を打っているにも関わらずKPIの改善が芳しくない場合はアプローチの見直しを検討する必要が生まれますし、進捗が上振れている場合は余裕をもって別のチャレンジを行うこともできます。

全体でみると

さて、各ポジションごとに簡単に解説しましたが、ここで全体の流れをとおして見てみましょう。

  1. 経営者は事業の投資判断をおこなうためにシミュレーションをしたいとおもっています。
  2. このとき事業に係るKPIの進捗の見通しが知りたい経営者は各チームのマネージャーにアクションとKPI改善の進捗を確認します。
  3. マネージャーは「アクションの結果、KPIは○○で予定よりもビハインドしてます」みたいなことを報告します。
  4. すると経営者は「じゃあ今の計画だとまずそうだから改善案だしてみてよ」みたいな指示を出しながら、自分たちの計画に悪いパターンとして下方修正をしたりします。
  5. 指示を受けたマネージャーは開発チームと一緒に「予定したアクションを打ったけどKPIの進捗が悪いから別のアイディアを試してみよう」という議論を展開します。
  6. このときに開発チームは「アクションAを打ったときは仮説として○○を考えていたんですが結果を見ると違うみたいですね。アクションBをしてみましょう」みたいな提案をします。
  7. その結果としてアクションBが打たれる、という流れになります。

こんな感じでKPIを軸とすることで会社全体が一貫性をもったコミュニケーションをおこなうことができるようになります。 上記の例ではトップダウンに流れを紹介しましたが、ボトムアップでも施策の優先度を決定する際に経営への寄与から逆算することが可能になり適切な施策を現場で選択することが可能になります。 つまり、KPIを全社で導入することによってコミュニケーションコストを大幅に削減し意思決定を適切に行うことができるようになります。


この記事ではKPIを設定する理由について組織の観点から解説しました。 もちろん、ここでは書いていない効果もたくさんあるのですが、ざっくり説明ということでイメージが湧いてくれたら嬉しいです。

宣伝

最近はYoutubeで活動しているのでよかったらチャンネル登録よろしく
KPIの設定の仕方とかデータに関する話をいろいろしてます

www.youtube.com